産業保健師のあれこれ

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人の会話を盗む人の心理と対処法

あなたの周りに話を聞いてくれない人はいませんか?

例えば、あなたの上司に自分のことを伝えたくて相談をしたのですが「俺もさ〜…」と急に上司の話を聞くハメになり、あなた自身の話したいことが話せず、上司がすっきりしただけで終わる。という事ないですか?自分の事を話せたとしても「俺(私)のほうが〇〇」とマウントを取られて、モヤっとする経験ないですか?

通称「会話泥棒さん」は相談役として適していないのですが、上司にいると厄介な相手としてあなたが疲れてしまうでしょう。会話泥棒さんはどのような心理なのか、どう対応すれば良いのかをご紹介します。

なお、ここでの会話泥棒とは「あなたの会話を遮り、自分の身の上話をして、あなたが伝えたい事を伝えられない人」の事を指します。単におしゃべりな人や会話の主導権をとっている人ではなく、話たいと思って相談したのに、あなたの相談内容を否定されたり過小化されてしまい、さらに話を聞く側にまわってしまう事象の事をいいます。

 

 

①承認欲求が高すぎる

会話泥棒さんはとにかく自分の事を認められてほしいです。「すごいでしょう」「頑張ったよ」と口には出さないけれど、常にこの気持ちがあります。どんどん会話を進めてしまうと、あなたは「そうですね」と言わざるを得ません。

会話泥棒さんは自分に厳しいタイプと自分で思っていて、自分で自分を認められないので、他人からの賞賛を求めてしまいます。むしろ賞賛しか求めてないので、少しからかったりすると「この人は認めてくれない人」と思い、認めてもらいたくて余計に自分の話をしたり下手したら攻撃されてしまいます。そのため、まずは会話泥棒さんの承認欲求をなるべく傷つけないように注意しましょう。

 

②共感性が低い

会話泥棒さんは人の気持ちを汲み取るのが苦手です。女性よりも男性のほうが共感性は低いとされており。それでも会話泥棒さんは自分の経験の範疇内で理解しようとしますが、本当の意味で理解して共感することは難しいようです。

「俺も気持ちわかるよ。俺もあの頃は…」と自分の話をし始めるのは、あなたの話に共感しているアピールをしているのです。しかしただのアピールなので、共感しているわけではありません。また経験の範疇外の話を理解しようと努めるのですが、結局は理解だけで終わってしまうことが殆どです。そのため、より共感してもらいたいときは「あのね、私悲しかったの。」とあなたの気持ちから話始めると、何が悲しかったのか想像しながら聞いてくれるため、会話泥棒されにくくなります。

 

③気持ちに余裕がない

会話泥棒さんは、人のために行動するのはやぶさかではなく、意外にもおせっかいタイプが多いです。しかし気持ちに余裕がない状況が続いていると、他人の話は殆ど頭に入らなくなります。特に仕事が繁忙だったり、ストレスフルな状態だと顕著に表れて、余裕がない時に相談事をもってきても、「人の話なんて聞いてられない。むしろ俺(

私)の話を聞いてくれ〜。」となるのです。

会話泥棒さんが上司だった場合、部下の話を聞くのが仕事だとしても、残念ながら会話泥棒さんの脳内は、部下は自分よりも下の立場であり、下なら優先度も下になってしまうのです。そのため、あなたの話は優先度を高いことを伝えたり、あなたが上司の会話泥棒さんの手伝いをすれば、少しは余裕が生まれて話も聞いてくれるかもしれません。

 

③優劣で人を判断する

人間は少なからず優劣で判断してしまう生き物ですが、会話泥棒さんは露骨にマウントをとってきます。これは優劣をつけることで承認欲求を満そうとしています。

自分より下だと思われる人には、特に会話泥棒する確率が高く、しかも聞いてもないのにアドバイスや説教をしてくる人が多いです。ただし、自分より上だと思っている人には大人しく振る舞います。優劣は社会的立場や年齢などの価値観から判断するため中々覆せないものです。しかし、例え上司だからといって偉いわけではありません。会社内ではあくまでも役割が違うだけです。年齢はただの年齢、両親は保護者、夫はパートナーなど、あなたと会話泥棒さんの間は平等であるということをあなた自身がまず強く認識しておく必要があります。

 

さて、この会話泥棒さんに対して自分の話を聞いてもらう方法は以下の通りです。

イメージ図

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・じっと目を見て微動だにしない

・相槌を打たない

これにより「話は聞いているが、あなたの話には興味がない」という事を非言語で伝えることができます。じっと目を見つめられるのは一種の不安感を生じさせ、相槌を打たないのは共感しないアピールになりますので、承認欲求が強い会話泥棒さんだからこそ効果はばつぐんです。

 

会話泥棒さんの話が止まったり、こちらに話題を振られた場合は、今度はあなたが話す番として言いたい事を言い切りましょう。話始める前に少し間を空けるとさらに効果的です。

もし途中でまた会話泥棒されそうになったら間髪いれずに「私は…」と主語を入れて会話を再開させましょう。

これを何回か繰り返すうちに少しずつ、最後まであなたの話を聞いてくれるようになります。

 

とはいえ、会話泥棒さんは相手の気持ちを理解するのが苦手です。「会話泥棒さんにも(心から)わかってもらえた」という達成感を得るには難しいかもしれません。せめて「私の話を(頭では)理解してくれた」「私の要求を通す事ができた」となれば万々歳でしょう。

 

あなたは優しくて人の気持ちが理解できる上に、とても聞き上手なのでしょう。だから会話泥棒さんもあなたに聞いてもらいたくて話をしてしまいます。あなたもただ聞くだけなら良いのですが、あなたが話を聞いてもらいたい場合に、聞いてもらえずモヤモヤするのは辛いばかりです。

コミュニケーションは相互理解が基本です。あなたが会話泥棒さんの事を理解したなら、今度は会話泥棒さんにあなたの事を理解してもらいましょう。